ピート・ハム 22歳 (1947年4月27日生 1975年4月24日没) 
 
僕は4歳の時にハーモニカを始めました。ギターは12歳からで、学校で演奏しました。その後はセミプロのアイビーズでスウォンジーのクラブやダンスホールで演奏していました。 
 
プロとしてやっていこうと思った時点では、テレビ修理の見習工をしていました。ああいったことが大好きなので、プロのミュージシャンになっていなければ、テレビ修理の仕事を続けていただろうと思います。 
 
僕は自分のことを平均的な人間だと思っています。 ユーモアが好きで、ホラー映画も好きです。見ていると現実を忘れることができるからです。現実っていうものは気が滅入ってしまうものです。何回も病院のテレビを修理しに行ったことがありますが、そこは最悪の現実を実感できる場所でした。老人がたったひとりで横たわっているんですよ。 
 
最初のレコード「メイビー・トゥモロウ」がアップルから発売された時、僕たちは当然ヒットするものだと思っていました。何もしなくてもヒットするものだと。愚かでした。結局、何も起きなかったんです。 だから当時、自分たちはアップルには相応しいバンドではなかったんだと思って、落ち込んでしまいました。でも思い直してみたんです。実際、僕たちの曲はよかった。だからそれでギブアップせずにもう一度みんな一緒に挑戦してみようと決めたんです。やってみる価値はあると。 
 
僕たちがプロになろうとした時、両親に反対されたんです。それで僕は両親に対してかなり反抗的な態度を取ってしまいました。でも今になって、あの時の両親の思いが理解できます。ふたりは僕のためを思って反対していたんだと。だからこそチャンスを活かしたいんです。 
 
僕はパーティが好きなんです。それは昔ながらの賑やかなパーティです。 物なんてなくてもいいんです。集まった人たちがわいわいがやがや自分自身を楽しむんです。 
Pete Ham 1973
 
曲を作ることは最大の楽しみです。 だいたい夜間、あるいは夜の11時過ぎから朝の5時頃まで曲作りというパターンが多いです。今のところ僕たちが作る曲は非常に多様ですが、今思っていることは、そろそろある程度決まったカテゴリーに集中させて行った方がいいんじゃないかということです。初期の僕たちの失敗は、あれもこれもといろんなタイプの曲に手を広げすぎたからじゃないのかと。ポール・マッカートニーとの仕事は本当に素晴らしい体験でした。彼はカム・アンド・ゲット・イットを提供し、どのようにやるべきなのか僕たちに示しました。すべてが良い経験になりました。 
 
僕はちょっと心配症なんです。これはトムも同じで、僕たちはつまらないことを気にしてしまうタイプなんです。マイクは全然別で、周りをあまり気にしないタイプ。いい意味でお気楽、マイペースなんです。 
 
僕は見せかけの音楽は嫌いです。僕の音楽は音楽なんです。ジャズからロックまで、その間のあらゆるもの、そしてその範疇に入らないものも。兄はジャズトランペッターをしています。今、地元でビッグバンドを作ろうとしているんです。 
 
僕は神というものを信じていません。イエスという人が存在し、彼は善良な人だったということは信じます。でも、信じているのはそれだけです。 
 
音楽についてもうちょっと。他のバンドを聴いていると、その多くの曲はメロディが欠けていると感じます。それは聴いていると頭が痛くなってくる音楽。無名のバンドだと僕が座ってじっくりと聴けるアルバムはほんの数枚です。僕はバッドフィンガーを皆さんに楽しんでもらえるようなバンドにしたいと思っています。コマーシャルな音楽はダメだ なんてことはまったくないと思います。 
 
 
 
 トム・エバンス 22歳 語る