次のお便りはアメリカの、え~と゛、誰かな? 
Badfinger - Unreleased and Some Released
 
「3番、アメリカから参りました エドです。覚え方は東京の昔の名前です。バッドフィンガー通信のみなさん、こんにちは」 
こんにちは 
 
「30年近く前、大学卒業前後のことです。週末に帰ったフロリダの実家でローカル紙を読んでいたら、月曜日に行われるバッドフィンガーのライブの広告を見つけました」 
そういう人、多いですね 
 
「最初は信じられなかったです。というのもその会場は田舎の魅力を活かしたカントリー・ミュージック専門の施設として知られていました。なんか場違いな感じだったので、同名のまったく別のカントリー・バンドかとも思いました。それでそこに書かれていたチケットの販売元に電話をかけることにしました」  
 
電話が繋がるまで、リミテが1997年にカバーしたウィズアウト・ユーと、1983年11月6日付ビルボード誌カントリーチャートで12位のヒット曲、T.G.シェパードのウィズアウト・ユー、そして1995年のジュース・ニュートンとグレン・キャンベルが歌うウィズアウト・ユーを続けてどうぞ。なお、曲に続いてCMに入り、CM明けにそのままチケット販売元との電話の実況生放送が続く予定です。 
 
 

 
CM 
 
エド:こんにちは、月曜日の夜のバッドフィンガー公演の広告を見ました。これはロックグループのバッドフィンガーですか? 
チケ:はい、そうです。 
エド:これは70年代のロックグループのバッドフィンガーですか? 
チケ:そうですよ。 
エド:これは70年代イギリスのロックグループのバッドフィンガーですか?
チケ:はい、そのグループだと思います。 
エド:これはビートルズのアップル・レコードの70年代のイギリスのロックグループのバッドフィンガーですよね。 
チケ:お客さま、これがそのバッドフィンガーだと私は思っております。私が知っていることはもうすべてお伝えいたしました。 
エド:ありがとう! 
 
「当日、テーブル席でビールを飲みながらステージ上の前座バンドの演奏が早く終わらないかなぁと左のサイドバーの方を見ると、その後ろのコーナーに紳士が独りぽつんと座っていたのです」 
そういう人も多いですね 
 
「見慣れた人物というか、見慣れた人物が少し歳をとったバージョンです。ちょっと離れていたのですが、それはバッドフィンガーのドラマーのマイク・ギビンズのように見えました」 
マイク、出たぁ! 
 
「彼の席まで行きバッドフィンガーのファンだと自己紹介すると、彼は同席を許してくれたので、私はビールを2杯追加注文しました。しばらくチャットし、サイン用に持ってきたストレート・アップのLPを差し出しました。彼はジャケットの自分が映っているところにサインをしてくれました」 
他人のところには書きにくいからでしょうか? 
 
「最後にもう一枚、Unreleased and Some Released というまだ新しい2枚組のブートLPを出しました。マイクはそれにも丁寧にサインをしてくれ、そろそろ出番だからと立ち上がり、他のメンバーはショーが終わった後にサインしてくれるよ、と言ってくれました」 
マイク、いい奴じゃん 
 
「しばらくして、ステージに登場したバッドフィンガーは4人組で、マイクとジョーイ・モーランドの他は見知らぬ人でした。この後に名前を知ることになるのですが、ひとりはランディ・アンダーソン、もうひとりは、A.J.ニコラス、こちらは他の3人よりかなり若かったです」 
 
「カム・アンド・ゲット・イットやデイ・アフター・デイやウィズアウト・ユーなどバッドフィンガーのおなじみのヒット曲でスタートした後、当日持参したブートレッグLPにも収録されていたヴァンパイア・ウェディングやエンジェルス・ライク・アスが演奏されました。この2曲は数年後にジョーイのソロ・アルバムに収録されますが、この時点ではライブ会場かブート盤でしか聴けなかった曲です」
 
それでは、ジョーイ以外のメンバーは異なりますが1980年代末のライブから エンジェルス・ライク・アスとヴァンパイア・ウェディング を続けてどうぞ。 
 
  
 
CM 
 
「他にはマネー、ベイビー・ブルー、明日の風、スウィート・チューズデイ・モーニング等のなじみの曲に混じって、ホールド・オン、ザ・ドリーマー、アイシクルズといったあまり知られてない曲も演奏されました。アンコールが終わる頃にはかなり感銘を受けていました。そしてバンドが彼らの別れを告げ、観客が出口に向かう中、私はステージに進みました。マイクとジョーイは見つかりませんでしたが、他のふたりがいたのでブート盤を出し、両人にサインしてもらいました。ふたりともそのアルバムを見るのは初めてのようで、熱心にトラックリストなどを見ていました」 
ふたり、いい奴じゃん 
 
「ジョーイとマイクはどこにいるのか尋ねると、たぶんツアーバスに戻っているとのことなので急いでバスを探しに行くと、乗車口に警備員が立っている大型バスを発見しました。警備員にアルバムを見せ、ジョーイにサインをしてもらいたいのですがと伝えると、彼はちょっと待ってろと言い、中に入っていきました」 
警備の人、いい奴じゃん 
 
「しばらくして戻ってきた警備員は、ジョーイは入っていいと言ってる とのこと」 
ジョーイ、いい奴じゃん 
 
「中で興奮しながら20分ほどジョーイとチャットし、最後にサインをお願いしました。まずストレート・アップにサインしたジョーイは、次に出されたブート盤を見るや これにはサインできない ときっぱりと拒否しました。ジョーイによるとこれに収録されている最近のデモ曲は彼が出演したラジオ番組をエアチェックしたものだそうです」
ブート盤にサインを頼んじゃだめじゃん  
 
「マイクが亡くなった際、私は未亡人となったエリーさんに会い、15年前のマイクとの出会いを彼女に伝えることができました。そしてその4年後、ツアーでフロリダに来たジョーイと楽屋で再会し、あの夜の思い出を彼に伝えました。さようなら」 
エド、いい奴じゃん 
 
バッドフィンガーのバック・アゲインを聴きながらお別れです。みなさんからのお便りをお待ちしています。さようなら 
 
 
 
 
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 [お便りコーナー 4] スウォンジー、1977年6月 

 [お便りコーナー 2] ウィズアウト・ユーのオリジナル 

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