1960-70年代の音楽関係者の口寄せ専門だという潮来の指太郎さんにお願いして、バッドフィンガーのマイク・ギビンズさんを呼びだしていただきました。 
 
マイクさん、お忙しいところわざわざ日本までお越しいただき、ありがとうございます。 
「いやいや、日本には来たかったんだよ。特に水郷の潮来とか恐山とか青木ヶ原とか。で、制作中の2枚目のソロ作のこと? 聞きたいの?」 
というと、1998年現在のマイクさんですか? 
「そうだよ。まだ生きてる時だよ」 
 
制作中の2枚目のソロ作(2000年に発売の More Annoying Songs)にはロン・グリフィスさんが参加とのことですが 
「彼はね、イギリスから来たんだよ。家に2週間泊まったんだ。それだけあればすることは明白だろ?」 
今録音中だけど、参加しない? って感じで? 
「そう。既に録音してあったボーカルを消して、そこに彼のボーカルを入れたんだ」 
Mike Gibbins - More Annoying Songs 2000
録音機材は何トラック? 
「8トラックのADTが1台。やってるのはロックンロールだぜ。8トラックあれば十分さ」 
これでしょ? 当時、日本でも発売されてましたよ。定価19万8000円だとか。 
Mackie CR1604
「これのような気もするけど、断言はしないでおこう」 
ロンさんの歌唱はどう? 
「最高だよ、と 断言しておこう」 
ベース演奏は? 
「衰えてないよ。ずっと弾いているからね。今回も1曲弾いてもらったよ」 
歌の参加は何曲? 
「2曲。あ、もう1曲、バックアップボーカルも (2000年の2ndに収録のオキシダイナモ)」 
 
タイトルは? 
「ちょっと待って。なんだっけ。思い出せない。ちょい待ち。え~とね、もう1週間もテープ聴いてないから。あ、サッド・ザ・クラウン(2002年の3rd Archeology に収録)だ。もう1曲はタイトル出てこないな(2000年の2ndに収録のタイム・ウィル・テル・アス)」 
ロンさんは歌や演奏の面で昔と変わってた? 
「同じだよ。全く同じ彼の音。彼は当時からシンガーとして優秀だったよ」 
曲作りにもロンさんは何か手伝ったりした? 
「歌詞が完成せずに苦労してた曲があったけど、彼がちょっと手を加えてくれたよ」 
ロンさんは今、つまり1998年ですが、今でも曲を書いたりしてる? 
「いや、してない。そんな必要ないじゃん。テレフォン・エンジニアとして働いていて、週末にパブバンドをやってるんだよ。だから曲は作ってない」 
ロンさんがそのまま残ってバッドフィンガーになっていても成功してたと思う? 
「カム・アンド・ゲット・イットにも参加してるしね。ロンはアイビーズでもあり、バッドフィンガーでもあったんだ。そのままのラインナップで行ったとしても、同等以上の結果を残せたと思うよ。でも、物事は希望通りには進まないものだしね」 
 
2枚目になる今作と前作(1997年に発売済の A Place in Time)との大きな違いは? 
「ファーストのようにダークではないよ。よりポジティブにして、ストリップダウンさせた。キーボードもノットソーマッチだよ」 
カタカナが多くてよくわからないですね 
「悪いな、日本語は苦手なんだよ」 
新アルバムにはバッドフィンガー時代の未発表曲など過去の曲も入っています? 
「ないよ。そういうのはないけど、もっと楽しいのが詰まってる」 
レコーディング・スタジオは? 
「世界でも一番だね、狭さにかけては」 
どれくらいの広さ? 
「8フィート四方。日本だと3~4畳かな? 畳のことはあんま詳しくないけど」 
Mike Gibbins - A Place In Time 1997
1997年の初のアルバム A Place in Time の1曲目、 Sue Me って、何のこと? 
「スー・ミー? あれはジョーイ・モーランドへの公開メッセージだよ。彼は誰かれ構わずに訴えてただろ。だからね」 
あ、聞いたことあります。何に対してだっけ? 
「あれだよ、録音テープを持ち去って作ったライブ・アルバム。ヘッド・ファーストの前の1974年に彼がバッドフィンガーを辞めた時、掠め取っていったんだ。バッドフィンガーが唯一持っていたライブ・テープなのにね」 
そんな大事なものを 
「そのテープを使って、彼自身が前面に立って1990年に発売の契約を結んで金稼ぎさ。しかも収支については誰にも明かさない。それで会計士を通して収支決算報告と分配金があれば残りのメンバーにも渡すように要請したのに、彼は俺たちを訴えてきた。ジョーイはまったく聞く耳を持たなかった。ほんと、きかん坊かよ。」 
俺たちって? 
「ピートやトムの相続人、俺自身、それにビル・コリンズを訴えたんだ。最近のジョーイは、俺にとっては悪いニュースしか運んで来ないね」 
もう結果は出たの? 
「いや、彼は引き延ばしてるから。既に裁判の経費が何千ドルもかかってる。結局のところ、勝ったところで赤字だよ。馬鹿げてる。それが彼のやり方さ」 
でも、実際には2000年に結果 (と、その直前の記事) が出てるんでしょ? 
「現実の今現在の時点ではね。でも、さっきまでいたところでは1998年でまだ出てないんだ、そこでは俺もまだ生きているから。ピートとトム以外は、キャシーもビル・コリンズもジョージもみんな生きてる時点の話だからね」 
その辺り、ちょっと複雑なんですね 
「うん。呼び出されても、もともとある資料に沿ってしか話せない決まりなんだよ。悪いな」 
 
いえいえ。それは潮来の指太郎の能力の問題でして。で、そのアルバム、デイ・アフター・デイ自体のクオリティについては? 
「ひでぇよ。あれのドラムの音聴いた?」 
はい 
「ジョーイはディスコ・ビートのドラムに変えてしまったろ。聴けばわかるだろ」 
少なくてもドラムの部分に関しては、手を加えるなら加えるで最初にマイクさんに相談するべきですよね 
「だよな。でもジョーイも自分ができるベストなことはわかってる。意味わかる?」 
CDの最初に自分の曲を全部並べるとか? 
Badfinger - Day After Day back
「彼のバッドフィンガーのベスト盤だよ。見てみろよ。'バッドフィンガー feat. ジョーイ・モーランド グレイテスト・ヒッツ' こっ恥ずかしい」 
何度も同じ内容でタイトルやジャケットを変えて再発されまくっていますね。オリジナル・メンバーの写真も使われてるし。 
「どう思う? 詐欺じゃないの?」 
そういう場合、俺の写真は使うな って言えないの? 
「もちろんできたよ。でもその度に訴訟になるんだぜ。何回やればいいんだよ。以前、バーで飲んでいたらファンからサインを頼まれたんだ。彼が持っていたCDは、そのジョーイのバッドフィンガーの再発盤で、俺の顔が載ってるやつだった。だからそのCDのドラムスも俺だと思ったんだね。あれは恥ずかしかったよ」 
その人にはなんて言った? 
「捨てちまえ!」 
Best Of Badfinger 1994 featuring Joey Molland 1996
「正確無比なバッドフィンガーの伝記本から引用するよ、そんなのないけどさ。いくよ」 
どうぞ 
「引用始め。 ’ジョーイ・モーランドはバッドフィンガーのおこぼれちょうだいで生活しています’ 引用終わり」 
! 
「結局バッドフィンガーではヒット曲は1曲も書かなかったし。そうだろ? ピート・ハムは才能があった。ジョーイは幸運にも後からそこに入ってきた。そしていまだにひとりでバッドフィンガーをやっている。何年やってるんだよ」 
ジョーイさんのバンドのメンバーの中には、ピートさんよりもバッドフィンガー歴が長い人がいる ってよく言いますね 
「ピートよりも長いの? って、俺よりも長そうだな。そりゃぁかっこいいな。無駄に頑張り過ぎだぜ」 
ジョーイさんがツアーでバッドフィンガーの名前を使うのはどう? 
「バッドフィンガーの名前を使ってツアーに出て、アルバムを出す。彼がやっていることは、バッドフィンガーの名前にダメージを与えることなんだよ。とはいえ、甘い汁を吸うことだけが彼ができることだしね。名声を主張するために使っているんだし。俺はそんなことに使わないよ。正しいとは思わないから」 
バーズのドラマーがバーズを名乗ってツアーしてたように? 
「そう。彼には似合ってるよ。俺はしないけど」 
倫理的に? 
「ジョーイには一切、倫理はないよ」 
伝記本を読んだりした印象だと、キャシーさんが来てからジョーイさんは変わってしまったみたいだけど、そう思う? 
「うん。彼女はアンチクライストだね」 
Joey and Kathie
ファンからすればどうして一つにまとまってバッドフィンガーしなかったの? って思うんですよ 
「そうだよな。トミーがいた頃、俺はトミーとツアーに出ていたんだけど、どこかでジョーイが見に来たことがあった。変な感じだったよ。彼らは一緒に演奏なんてしなくなってた。お互いに反目しあって、もうどうにもならなかった。残された3人一緒にひとつのバンドにまとまることだってできたのに、そうはならなかった。人は変化するからな。みんなリーダーになりたがったり、あれこれ言いたがったりね。バッドフィンガーはいいバンドだった。いい曲も演ってた。でも、もう終わってる。今あるバッドフィンガーは別物。俺はバッドフィンガーの名前は使わないよ。俺はマイク・ギビンズだからね。あ、でも次のアルバムには '元マイク・ギビンズことバッドフィンガー' っていうタイトルつけちゃおうか(笑)」 
 
part 2 に続く 
 
 
 
ここで使った資料の基になったインタビューの一部らしきものが YouTube に出てきた  

 
アップしたのは Ron Griffiths で、彼によると 
I have acquired the right to publish this whole interview with Mike in the future so keep an eye and ear open for the truth “ from the horses mouth " to coin a phrase. 
とのこと。